現代の私たちの生活において、ファッションやインテリア生地等々、身の回りにある様々な繊維製品で「ジャカード」という単語は広く使われ知られているが、おそらく複雑な絵柄が織られたものという認識で、その意味を知り構造を理解することは難しいであろう。

 

ジャカードとは、1801年にジョセフ・マリー・ジャカールが発明した紋紙を使用した紋織の装置で、同年、彼のジャカード織機はパリ産業博覧会で発表され、直ちにその可能性が認められた。

 

そのルーツは中国の空引機にあり、6世紀には日本へも美しい絹紋織物とともに織機や技術が伝来している。中国からシルクロードへを西へと向かいヨーロッパに伝わった養蚕や製織技術、織機の変遷などを経て、ジャカードへと繋がる。さらにこの紋紙の2進法の考え方は、現在のコンピューターの原型といわれる計算機と繋がる。現代では紋紙に代わりコンピュータを、そして写真などデジタル技術がジャカード織にも採用されている。

 

今日コンピューターが広く普及し専用のアプリケーション・ソフトが開発されたことで、産業界だけでなく、芸術の世界でも手織機と連動したジャカード機を使って、創作における表現活動が広まりを見せている。

 

出典:阿久津光子